もしかして虐待? 保育士が気づくための5つのチェックポイント


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保育士として毎日、子どもたちと触れ合う日々。
そんな中で、何か違和感をおぼえることはありませんか。

「どうも普段と様子が違う」
「どうしてこんなところに傷が?」
「最近なんだか服が汚れているみたい」・・・

保育所は、子どもと毎日長い時間、何人もの職員が接するので、虐待やその兆候に気づく場として、第一線にあるといえます。
何かおかしい・・・そんな気づきが子どもを守ることにつながる場合も。
保育士としてどんなことに気をつければいいのか、また気づいたときどうしたらいいのか、まとめてみました。

いつもと違う・・・こんなサインを見逃さないで!

年間6万件を超える子どもの虐待。決してまれなケースではありません。
ではどんなときに、虐待を疑うべきなのでしょうか。
保育士が注意すべき5つのサインをあげてみましょう。

①不自然なけが

● 頻繁にけがをしている

保育所ではあまりけがをしないのに、体のあちこちに傷がある。

● けがをしにくい場所の傷、やけど

日常的によくけがをするのは、ひじやひざ、額など。腹部や背中、腕、もも、目の周りや首といった、けがをしにくい場所に傷ややけど、あざのあるときは注意。

● けがの状態が不自然

棒でたたいたような線状のあざ、たばこを押し付けたようなやけどなど。

● けがの説明が不明瞭

上記のような不自然なけがでも、子どもが「自分でやった」と言ったり、親が「ひとりで転んだ」などとはっきりしない説明をするとき。

● けがへの対処がされていない

明らかに治療が必要なけがが放置されているとき。

②子どもの身なりや様子に違和感がある

● 服装やからだが清潔でない

着替えや入浴がされていない、ネグレクト(養育放棄)の可能性。

● 着替えや裸になることを異常に不安がる

性的虐待や暴力がある場合も。

● 残り物を欲しがるなど、異様に食べ物に執着する

食事を与えないネグレクトの疑いが。

③健康なのに、発育や発達に遅れがみられる

● 身長体重などの体の発育が明らかに遅い

十分な食事が与えられていなかったり、睡眠不足や虐待のストレスから、成長ホルモンが低下している場合も。

● 知的発達の遅れ

親がネグレクトなどで子どもを無視し続けると、知的発達、とくに言葉の発達が阻まれます。

④子どもの態度やしぐさが不自然

● 無気力・無反応・無表情

● 嘘をよくつく

● 大人を拒否したと思うと、ベタベタ甘えてきたりする

● 体に触れられると身構えたり、嫌がる

● 親に対する態度が、職員に対してと違い明らかに怯えている

● 自分より弱い子どもに対して威圧的だったり、暴力をふるう

⑤親の態度から虐待が疑われるとき

● 子どもへの接し方がおかしい

体罰や怒鳴るなど威圧的。拒否的で冷たい。無関心。

● 健康状態についての園の依頼を無視する

病気・けがの治療をしない、清潔にしない。

● 子どもの状態についての説明がころころ変わったり、不自然

● 子どもへの接し方がおかしい

● 子どもの園での様子に関心がない

ひとりで抱え込まず、園全体でサポートを

それでは、上記のようなことに気づいたら、まず何をすればよいのでしょうか。

1.記録する

「もしかして・・」と思ったときから、記録を始めましょう。
けがや子どもの様子などの不自然な状況を具体的に書き留めてください。
傷の場所や状態などを図にしておくのも役に立ちます。
虐待がはっきりすると児童相談所が動きますが、そのときに日付や子どもの状況が記録に残っていると、すばやい対応ができます。

2.報告する

虐待が疑われたらすぐに、同僚の保育士や、主任保育士に報告・相談しましょう。
ひとりでなく、何人かの目を通してみると違った事実がみえてくることもあります。
もし勘違いですめば、それが一番なのですから。

3.子どもの話を聞く

このとき何よりも大切なのは、子どもを安心させること。
まず第一に「先生は味方だよ、何を言っても大丈夫、ちゃんと守るからね」
と力強く子どもに伝え、安心感を与えてあげましょう。
そのうえで、他の子どもに聞かれない静かな場所を選び、一人か二人でゆったりと話をします。
大人数で取り囲み問い詰めるようなことは絶対に避けてください。
「誰が叩いたの?」などと誘導せず、「どうしてけがをしたのかな」のように尋ねます。
子どもが明らかにうそをついていても、追求しないこと。「もっと話したくなったらいつでも言ってね」と、受け止める姿勢を見せましょう。
子どもの口から虐待の事実が出たら、まずは「辛かったね。話してくれてありがとう」と感謝します。そして「このことであなたが叱られたり困ったことには絶対にならないから、安心していてね」とはっきり伝えてください。

4.保護者への対応

ほとんどの虐待は、育児への不安が原因です。親自身も悩んでいるのです。
そんな子育ての辛さ、しんどさを認め、これまで頑張ってきたことを評価してあげましょう。
そのうえで、保育士が気づいた子どもの様子を話し、「ご家庭で気になることはありませんか」と聞いてみます。
保護者はすぐには言わないかもしれませんが、子育ての悩みや家庭のことなど、なんでも相談してほしいとのメッセージを伝えましょう。

5.通告する

もし保護者が「これはしつけです」などと虐待を認めず、子どもの状況が改善しない場合、それを判断すべきは児童相談所。保育所はあくまで保護者を支えていく場所です。
電話でもいいので児童相談所か市役所、福祉事務所に連絡してください。
保護者とのトラブルを恐れて保育所が通告をためらうときは、一保育士として個人的に通告することもできます。後のトラブルが心配であれば、匿名での通告が可能です。

子どもの心と体を蝕む虐待。
いま、保育所に限らず一般的にも、虐待が疑われるときは通告することが義務、との捉え方が広がってきています。
ただしよその家庭の問題である以上、デリケートな対応が求められるのも悩みどころ。
でも決して一人で抱え込まないで。まずは保育所全体で状況を把握し、子どもたちを守っていく決意をもって対応していくことが大切です。
保育士と保育所はどんなときも、子どもたちの明るい未来を育む存在でいたいですね。


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