保育士の給料って安い!?どうする?今後は?処遇改善についても
- 2021-1-6
- 保育士のお悩み解決
多忙で長時間勤務そして、子供の『命』を預かっている保育士。責任の重い仕事であるにも関わらず、保育士は給与が低いとされています。保育士の退職理由でも「給与が低い」が上位に入ります。ここでは実際に保育士の給料についてのお悩みを見てみましょう。
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本当に給料が安い?
公立の保育園に勤める公務員保育士の場合は、ある程度給与の保証はされていますが、
私立・無認可の場合は園によって待遇がマチマチです。厚労省が行った2018年の賃金構造基本統計調査によれば「労働者全体の平均月額給与が30.6万円に対して、保育士(公務員保育士は除く)は23.3万円と全体よりも8万円近く安い」という結果が出ています。このデータはあくまでも職種全体の平均値なので、保育士の平均年齢が低いこと、地域施設形態によって差があることは考慮する必要があるのですが、やはり「給与の水準が低い」という印象を持つ方も少なくないようです。
仕事量と給与が見合っていない
保育士の大多数の意見として「仕事の量とお金が見合っていない」という意見があります。
その理由として、
①サービス残業
保育士の仕事は、子供と遊ぶ以外にも、保護者の対応、保育計画作成、保育日誌や連絡帳記入などお仕事は多岐にわたります。そのため、就業時間に終わらず残業が続くことが多く、またその残業はサービス残業で行われている事が多いのです、
②休憩時間はない
また、保育日誌や連絡帳などを書く時間は基本的にないので、休憩時間を削って書かれていることが多いんです。実際、休憩無しで12時間労働したなんて話もよく聞く話です。
③休めない
保育業界は深刻な人手不足なので休みが取りづらく、なかなか休息が取れないという保育士が多くいます。また休みの日も園からの仕事の連絡で心が休まないなんてこともザラです。身体も心も休まるタイミングがないのです。
④持ち帰り仕事
保育士の仕事は「朝から勤務して夜遅くまでサービス残業」をしても、終わらないんです。多くの保育士はサービス残業の後に、家に仕事を持ち帰る「持ち帰り仕事」をしていて、行事の計画書など書類を作ったり、壁面づくりをしたり、劇の衣装作りなどなど、日中の子どもたちを保育している時間にはできない作業を「持ち帰り」やっているんです。
上記のような大変な仕事量に加えて「子どもたちの命を預かっている」という【責任の重たい使命】があります。「仕事の量とお金が見合っていない」という意見には頷けますね。
何故給料が上がらない
公立の保育園は、自治体が運営しているので「公務員保育士」として働くことになります。その給与は各自治体が定める「地方公務員/一般行政職」の給料表にもとづきますので、ある程度給料が保証されており、公務員保育士の場合は、年齢によって毎年給与ベースが上がっていく仕組みです。
ですが、私立保育園の場合、運営は自治体ではなく各運営母体が行います(社格福祉法人、学校法人、NPO等)ので、保育士の給料となる人件費は、運営資金から支払われます。すなわち設備投資費などの経費を差し引いた上で決められるということです。
私立認可保育園の場合、その運営資金の主な財源は公的な補助金(税金)と国で定める公定価格に基づいた保護者からの保育料です。公的な補助金は、税金のため一定の基準があり、保育園が自由に財源を増やすのは難しくまた、保育料も公定価格で決まっているので、事業者が勝手に上げることも難しいと考えられます。ある程度財源が固定化されているので、なかなか給料が上がりにくいと考えられます。
行政の取り組み
保育士という仕事は、給与と仕事内容が見合っていないことに加えて、他の職種と比べて職制階層が少なく、―般的には園長、主任、保育士という階級しかなかったため、なかなか「キャリアアップ」や「昇給」が見込めないことも問題でした。こうした理由から、離職する保育士も増加し、慢性的な保育士不足が叫ばれています。
①保育士処遇改善等加算
ですが、近年は保育士の「給与引き上げ」「キャリアアップ」を図るために、内閣府は2013年より『保育士処遇改善等加算』制度を設けています。その中身は「保育士の給与底上げ」「《副主任保育士》などの役職を設け、キャリアパスを構築、若手のキャリアアップによる処遇改善手当を支給」です。処遇改善の推移を見ると、保育士の給料は2013年~2019年までで13%引き上げられています。
ですが実際、給与が上がっていると実感している保育士は少ないのではないでしょうか?
②処遇改善の問題点
まず、処遇改善は補助金なので、基本的には認可保育園でしか受けられないことがあり、従って、すべての保育園で処遇改善手当が受けられるわけではありません。
また、処遇改善手当は職員に直接支給されるものではなく、保育園側がまとめて受け取りそれを分配するという形になります。ですので、誰にどれくらい支給するのかは園側が決めるため、人によって支給額が異なります。
また、一部の保育施設では利益を優先し、園によっては規定の金額が支払われない可能性や、保育士の待遇改善に使われていないこと、基本給を下げて調整したりなどの問題も多くあります。適切に処遇改善手当が支給されるまでには、政府からの管理・監督が望まれます。
給料アップのために
保育士の待遇改善のために行政が取り組みを行っていますが、保育士自身は給料アップのためにどんな行動ができるのでしょうか?
①キャリアアップ
先述した「保育士処遇改善等加算」では、若手やブランクのある人もこの制度を利用することで、キャリアアップを目指すことができ、キャリアアップによって賃金が加算されます。
但し、制度による給与アップなどの対象となるには、キャリアアップ研修を受講する必要があり、且つ職場で一定の職位(リーダー的職員)に就く必要があります。
職場で一定の職位に就けるかどうかが、給与アップの重要な鍵となりますが、キャリアアップ研修受講者は、一度修了すると、日本全国どこでも通用するキャリアを持つことになるので、転職時や復職時の武器とすることができます。
②公務員保育士を目指す
まだ、公務員保育士を目指せる年齢であれば、公務員保育士を目指すこともオススメです。
週休2日制で、安定した給料、定期的な昇給、賞与も多く貰えます。有給や産休・育休も充実しており福利厚生が手厚く、離職率も低いです。公立保育士になるためには、公務員試験に合格する必要があるので、カンタンではないですが一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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③働く環境を変える
処遇改善制度によって、賃金の底上げ、キャリアアップの仕組みが構築されています。実際データとしても、保育士の給料は2013年~2019年までで13%引き上げられています。
しかし、すべての保育園で、保育士の処遇が改善されているわけではありません。
それは保育士のせいではありません。国の処遇改善が合っても、給料が上がらないのは、園側の問題です。
給料が見合わない、正当な金額が支払われていないと感じる場合は、思い切って【転職】をしましょう。自分の理想とする保育園を探すのであれば、保育士転職のプロに相談することをおすすめします。自分で一つ一つ比較するのもいいですが、時間がかかりすぎてしてしまいます。プロに相談すると、自分で探すよりも効率よく、良い求人と出会えますよ。
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給与アップ、キャリアアップが実現する保育園に転職するコツとは?
まとめ
保育士の仕事は、長時間労働で膨大な仕事量そして子供の命を預かっているという大変責任の重い仕事です。にもかかわらず、まだまだ仕事に見合った報酬が支払われていないのが現状です。待機児童の解消を目標に需要が高まる中、今後も様々な取り組みが続いていくことが考えられます。保育士の給料はこれからも徐々に改善されていくと思いますが、1,2年ですぐに満足される待遇に改善されるということは、可能性としては薄いでしょう。「いつか改善されるはず」と今の環境で頑張ることも良いですが、頑張りが正当に評価される環境に転職することも視野に入れてみたらいかがでしょうか?