幼児教育に関わる人が知っておきたい 「モンテッソーリ教育」ってどんなもの!?

モンテッソーリ教育

「モンテッソーリ教育」という言葉を聞いたことはありませんか?
これは、イタリアの女性医学博士、マリア・モンテッソーリ(1870~1952)が生み出した教育方法です。
人間形成に重要な0歳~24歳までの時期を「幼児期(0~6歳)」、「児童期(6~12歳)」、「思春期(12~18歳)」、「青年期/成熟期(18~24歳)」の4段階に分けて捉え、それぞれ発達段階に応じた教育を行います。
4段階を通して、個々の自主性や探求心を重視するのが大きな特徴です。

20世紀の初めから欧米を中心に広まり、世界各国に浸透。最近では、アメリカのオバマ元大統領が受けた教育としても注目されました。
日本でも、この発達段階のうち「幼児期」に焦点を当てた幼稚園や保育園、民間の幼児教室等があります。
子どもの潜在能力を引き出したい、自由度の高い教育を行いたいという保護者のほか、自然と礼儀作法が身に付くとあって“小学校受験”のために通わせたいという保護者からも注目されています。

■モンテッソーリ教育の特徴

遊び=「おしごと」!?

モンテッソーリ教育を実践している幼稚園や保育園。他の園と最も違う特色は、1人で1つの事柄に取り組む「おしごと」という時間帯を設けていることでしょう。
この時間帯は、「本当にここは幼稚園(保育園)!?」というほどシーンと静かな教室で、子どもたち一人ひとりが、黙々と自分のやりたいことに集中しています。指導にあたる先生もなるべく子どもの邪魔にならないようにそっと見守り、サポートや注意(※この時間、子どもは自分の「おしごと」に集中。他の子の邪魔はしてはいけないというルール)が必要な時だけ子どもに小声で話しかけるというスタンスをとっています。

「おしごと」の基本は日常生活の練習

この「おしごと」にはどんなものがあるのかというと、お箸の使い方を練習したり、ほうきとちりとりで掃除をしたり、植物に水をあげたり…と、日常生活で行う“ルーティンワーク”が基本です。初めて見る人は、「これが子どもの遊び!?」「こんなことが楽しいの?」と感じるかもしれません。
しかし、大人が思っている以上に、子どもは大人が行う日常の動作を観察し、自分もやってみたいと感じているようなのです。
モンテッソーリ教育では、この子どもの純粋な好奇心をうまく汲んで、なるべく大人と同じような作業にチャレンジさせます。
大人が何気なく行っている行動も、子どもにとっては1つずつ練習しなければできないことばかり。様々な「おしごと」に挑戦することで、身体のバランスをとる、手先を器用に使う、道具の扱いに慣れる…などの動作を少しずつ訓練していくのです。

子どもたちは、邪魔されなければ、自分が納得いくまで同じ作業を繰り返します。30分でも1時間でもやり続けるという子も珍しくないようです。
この根気や集中力は、“努力”というよりは“本能”に近いものでしょう。こうして、自身に備わる集中力を鍛え「やればできるのだ」という達成感や自信を身につけていくのですね。

発達を促す様々な「教具」

これら「おしごと」の道具は「教具」と呼ばれ、いつも決まった場所に決まったかたちで整えられています。この整然とした環境は心の安定につながるようで、子どもたちは自分がやりたい「おしごと」の教具を手に取り、作業を開始。終わった後は元通りに片付けます。
このような秩序や自主性を大切にするのもモンテッソーリ教育の大きな特徴です。
教具には、前述の〈日常生活の訓練〉のほかに、五感を鍛える〈感覚教育〉のもの、〈数〉〈言語〉〈文化〉を学ぶためのものがあります。
このうち、〈数〉へのアプローチは、〈感覚教育〉の延長でスタート。数字を読み書きするだけでなく、“〈数〉は「重い・軽い」「高い・低い」など量や嵩を表すもの”ということが感覚で捉えられるような教具を用いて、その法則性や秩序、10進法の発想なども学んでいきます。

〈言語〉(文字)の習得は、「書く」→「読む」の順で行います。まずは「砂文字」や「写し書き」などの教具で手首を柔軟に動かす練習。鉛筆を握り、文字が書けるようになったら、たくさんの言葉に触れ、物や絵を文字で表す練習を繰り返します。簡単な文章が作れるようになる5~6歳ごろには、形や色で分類した教具を用い、品詞の種類や文法等をパズルの様に学んでいきます。
すべての教具が子どもの発達や好奇心をうまく捉えたもの。幼児教育に携わる人にはとても興味深いのではないでしょうか。

大切にしていること

モンテッソーリ教育では、個人の集中力や探求心を尊重し、その力を伸ばそうとします。幼児期は特に、物事の捉え方や興味、こだわりなどの個人差が大きい時期。幼稚園(保育園)によっては、「みんなと同じように」が重視され、「人と違うこと」が叱られてしまうこともありますが、モンテッソーリ教育では、そのような個性こそを認め、それぞれのペースで学ばせます。この指導方法により、子どもたちは自己肯定感や自分の力に自信をつけていくのです。

■モンテッソーリ教育を行う上で考えておきたいこと

必要不可欠な家庭の協力

このような教育のもと、園での子どもたちは自然と秩序を大切にし、丁寧な言葉遣いや生活態度を心掛けるようになります。ただ、その分だけ“反動”があるというのもよく聞く話。園では落ち着いて生活しているのに、降園すると大声を出したり、癇癪を起したり、暴れたり…そんな声も少なくありません。
これは、子どもたちが園の雰囲気に順応し「おしごと」に集中した証かもしれません。また、園では尊重されたことが、家では叱られたり焦らされたり、ということで混乱している可能性も考えられます。
モンテッソーリ教育を行う場合は、ぜひ各家庭の協力を得て、「園」と「家」のルールを近づけたり、行動欲求が満たされていない場合は降園後に思いっきり外で遊ばせたりするなど、全体的なバランスを考えてもらうことが大切です。

卒園後について

海外では、小学校以降もモンテッソーリ教育を導入している学校があるのですが、日本ではほぼないというのが現状です。
つまり、日本でモンテッソーリ教育を受けられるのは4つの発達段階のなかで「幼児期」のみ。それ以降は、モンテッソーリ教育以外の学校で学んでいくことになります。
日本の学校では、まだまだ一斉指導が主流。就学後、なかには「園」とは違う方針や友達との感覚の違いに混乱してしまう子どももいるようです。
就学を前に、自分と周りの関係を考える機会を作ったり、みんなと一緒に楽しむ遊びなどを取り入れたり、「他者」との付き合い方にも気を配ってみてください。

■まとめ

近年、注目が集まる幼児教育。幼稚園や保育園での“教育”にも目が向けられていますし、近年増加傾向にある民間の幼児教室、そこで実践されるプログラム内容も広がっています。
「モンテッソーリ教育」もそんな幼児教育の一つ。発達の捉え方から指導方針、教具に至るまで、すべてが体系的に確立しているので、独特の世界観のようなものさえ感じさせます。特に協調性を重んじてきた日本の文化の中では特殊な教育と言えるのかもしれません。
しかし、現在その日本の教育が直面している様々な課題(自主的な学習、課題解決型学習、個々の特性を尊重する教育の多様性、インクルーシブ教育の実践など)に対するヒントが詰まっているというのも注目すべきポイント。
幼児教育のみならず教育に携わる人にとって興味深いところではないでしょうか。

幼児教育の考え方は幅が広く、多くの可能性を秘めた分野です。
そして、どんな教育をも素直に吸収していくこの時期の子どもたち。その姿を見ていると、教育の大切さ、また、そのカタチは1つではないということを改めて考えさせられます。

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