保育士の処遇改善へ! 高まる声に国が本格的な動き

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「保育園落ちた日本死ね」の書き込みで大きな話題を呼んだ、保育園不足の現状。今や待機児童数は全国で45000人を超え、深刻な社会問題となっています。
それに関連して注目を集めているのが、保育士不足。政府は昨年末、緊急対策案を打ち出し、保育士の復職や資格取得、業務の軽減などを支援する方針を明らかにしましたが、現場からは「そんなことよりまずは待遇の改善を」との声が高く、自治体や元保育士が国に要求するなどの動きも活発になってきています。
ここにきてついに、国も重い腰を上げ、保育士の賃金改善に向けて本格的に動き出しました。
そこで今回は、安いとされる保育士の給与の実態を知りつつ、改善を求める一連の流れや、それに対する政府の動きについて、詳しく見ていきたいと思います。

全産業平均より10万円低い保育士の給与

低賃金が問題にされる介護士よりも、さらに低いとされる保育士の給与。
民間保育士の月収で最多なのは18万円~19万円ですが、昨年11月に会見を開いた現役保育士は、24歳2年目で手取り月収約11万4000円、28歳6年目では約14万円という給与額を明かして、話題になりました。
昨年4月、厚労省は子ども・子育て支援新制度において、民間保育士の給与を平均で5%改善しましたが、月額1万円足らずの増額は、低賃金にあえぐ保育士にとって焼け石に水だったようです。

「労働内容にくらべ給与が安すぎる。賃上げが保育士を増やす唯一の策」
「この額では我が子を養うどころか、一人暮らしもできない」
「スキルアップにかける資金もなく、保育の質は落ちるばかり」

切実な保育士の声は、雀の涙のような賃上げではなく、専門職に見合った待遇を求めて高まっています。

希望する給与アップの額は4万円~5万円

今年3月、民主党と維新の党が国会に提出した保育士の賃金改善案は、平均月1万円。その後、それでは不十分と判断され、月5万円に引き上げられました。
一方、どのくらいの給与アップを望んでいるのか、現場の保育士の声を拾ってみると、一番多いのが月額4万円~5万円、ついで6万円~10万円という回答。
とはいえ、保育士を離職した人の中には「5万円アップでも復職したくない」という声も。たとえ5万円増えたとしても、他業種にはまだまだ及ばず、他の仕事に就いてしまう保育士が多いのも事実のようです。
そんな中、元保育士や自治体の長が、国に対し声を上げ始めています。

給与5万円増額に賛同、ネット署名3万人

今年1月、元認可保育園の園長が、「短大卒の正保育士で月収15~16万程度。10年勤めてもようやく1万円上がるくらい」として、待遇改善を訴えネット署名運動を開始。
そして集まった約3万人分の署名を、3月30日に厚生労働省に提出しました。
当初、「保育士の待遇はもはや社会全体で考える問題」と、塩崎労働相に直接渡すことを希望し、大臣も「受け取りたい」と述べていましたが、その後、厚労省は「大臣が受け取ることはできない」と態度を翻し、担当者が受け取ることに。野党が署名の内容と同様の「保育士給与5万円増」を掲げたことが原因で、自民党が大臣みずからの受け取りに待ったをかけたと報じられました。
元園長は、署名を担当者が受け取ったことに関し、「形式的にすませようとする政府与党の姿勢には断固、抗議します」と述べ、引き続き署名を集め、再度提出の機会を伺いたい、としています。

市区町長からも「保育士の賃金改善」の要望が

そして今年4月の厚労省会議では、待機児童が100人以上の62市区町のうち出席した29人の市区町長から、保育士の賃金改善を求める声が相次ぎました。
政府は3月に発表した待機児童解消に向けた緊急対策で、小規模保育所の定員を19人から22人に引き上げることや、人員や面積が国の最低基準を上回る保育所で預かる子どもを増やすよう、市町村に求めることなどを発表。しかし、多くの市区町長は「保育ニーズが増え、保育士が足りない。処遇が悪く別の仕事に就いてしまう」などと指摘しました。
さらに「自治体が独自で保育士給与を加算しているが、自治体間の競争となり、すでに限界。国が大幅な底上げをしてほしい」との要望に対し、塩崎大臣は「5月にまとめる一億総活躍プランで、しっかりした処遇改善策を示したい」と応じています。

まとめ

増え続ける待機児童の問題、そして保育士不足問題。その答えが保育士の処遇改善にあることは、もはや認めざるを得ません。
これまで国が打ち出してきた対策は、外堀を埋めるようなものがほとんどで、保育士給与の抜本的な見直しという、問題の核心には触れてきませんでした。
今年5月には、安倍内閣が「ニッポン一億総活躍プラン」で、実効性のある具体案を示すとしています。問題を根本から改善する、現場に寄り添った施策が期待されています。

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